いわて食・農ネット(いわて食・農・地域を守る県民運動ネットワーク)は11月13日~24日、秋のグリーンウェーブ行動にとりくみました。グリーンウェーブは、食料自給率向上を中心に、食と農を守る共同を広げるために全国食健連が呼びかけている運動。いわて食・農ネットは「農業農協改革反対・自給率向上」「戸別補償復活」「TPP・日欧EPA反対」「食の安全行政の充実」「災害復興に政府が責任を」の5項目を求める「政府への要請」を呼びかけながら、全県の市町村長と農協長を訪問しました。
※画像は花巻農業協同組合
対話の中で真っ先に出る話題は「今年の米の作柄」です。あわせて来年からの米づくりについての不安が口々に語られました。岩手江刺農業協同組合の小川節男組合長は「米の直接支払(戸別所得補償)が廃止されることに現場からは不安の声が上がっている。収入保険も加入状況によっては保障内容の見通しが心配」と語ります。平泉町の青木幸保町長は「戸別補償の廃止は農家の経営に大きく影響する。農家の自助努力も必要だが、基礎的なところは国で行うべき」と力説しました。
飼料用米も焦点の一つです。「麦・大豆など畑作物への転換はどうしても無理な区画もあり、転作には従来から苦労してきた。しかし飼料用米は水田として活かせるのがいい。国からの補助がそれなりにあるので、やっていけている」と、自治体・農協ともに力を入れています。一方で「国の支援が削られるのは心配」との声も対話の中で出されました。
どこの地域にも共通する課題として「高齢化」があげられました。中には後継者対策で農協独自の技術研修をするマイスター制度を実施している農協もあります。また、国の制度よりもより幅広い年齢を対象にしたり、親元就農でも対象にしたりと、市町村独自の充実した後継者対策もきくことができました。
多くの地域で、独自の品種やブランドづくりが取り組まれていますが、背景には、輸入農産物との競争にさらされている危機感があります。また、「日欧EPA,TPP11,日米FTAなど、情報がまったくこない。今後のアメリカとの交渉がすべてTPPと同水準になるというのはひどい話だ」と、自治体幹部からは心配の声が出されました。また、ある農協幹部は「日米交渉はやめてほしい」と率直に語りました。
一連の行動には農民連,労働組合,新日本婦人の会,いわて生協などから、延べ79名が参加。33市町村中16の市町村長と、7農協すべての農協長から「政府への要請」に対する賛同がよせられました。
※県内の農協には、代表者を「組合長」ではなく「経営管理委員会委員長」としているところもあることから、「組合長」ではなく「農協長」という表現にしています